お口の機能トレーニングとは?~MFT(口腔筋機能療法)~①

「歯並びが悪いのは遺伝だから仕方がない」
そう思われている保護者の方は少なくありません。しかし実際には、歯並びや噛み合わせには舌の使い方や呼吸の仕方、飲み込み方などの“お口の機能”が大きく関係しています。
近年、子どもの口呼吸や舌の位置の異常が増えており、「口腔機能発達不全症」という病名も広く知られるようになってきました。
そこで注目されているのが「お口の機能トレーニング」です。
今回は、お口の機能トレーニングとは何か、なぜ必要なのか、どのような効果が期待できるのかについて詳しく解説します。
お口の機能トレーニングとは?

お口の機能トレーニングとは、舌や唇、頬の筋肉を正しく使えるようにするためのトレーニングです。
歯科ではMFT(Myofunctional Therapy:口腔筋機能療法)とも呼ばれています。
お口は単に食べるための器官ではありません。
- 呼吸する
- 話す
- 噛む
- 飲み込む
- 表情を作る
といった重要な役割を担っています。
これらの機能が正しく発達しないと、歯並びや噛み合わせだけでなく、全身の健康や成長にも影響を及ぼす可能性があります。
そのため、近年では矯正治療と並行してお口の機能トレーニングを行う歯科医院が増えています。
お口の機能が発達していないとどうなる?

口呼吸になる
本来、人は鼻で呼吸するのが正常です。
しかし舌の位置が低かったり、口周りの筋肉が弱かったりすると、口が常に開いた状態になります。
口呼吸になると、
- 虫歯や歯周病になりやすい
- 口臭が強くなる
- 風邪をひきやすくなる
- 睡眠の質が低下する
などの問題が起こります。
歯並びが悪くなる
歯は舌と唇の力のバランスによって並んでいます。
舌が常に下がっていると、
- 出っ歯
- 受け口
- 開咬(前歯が噛まない状態)
- ガタガタの歯並び
などが起こりやすくなります。
矯正治療で歯並びを整えても、原因となる癖が改善されなければ後戻りする可能性があります。
飲み込み方が悪くなる
正常な飲み込みでは舌が上あごにつきます。
しかし機能が未発達の場合、舌を前に押し出しながら飲み込む「異常嚥下癖」が見られます。
この状態が続くと、前歯が押されて歯並びが悪化する原因になります。
発音に影響する
舌の動きが悪いと、
- サ行
- タ行
- ラ行
などが発音しにくくなることがあります。
学校生活やコミュニケーションに影響するケースもあります。
このようなお子さまは要注意

次のような症状はありませんか?
- いつも口が開いている
- 食事中によくクチャクチャ音がする
- いびきをかく
- 口呼吸をしている
- 発音が気になる
- 飲み込む時に口元に力が入る
- 歯並びが悪い
- 姿勢が悪い
- よく頬杖をつく
- 指しゃぶりが長く続いた
複数当てはまる場合は、お口の機能に問題がある可能性があります。
歯並びが悪くなってから対処するのではなく、原因となる機能面を早期に改善することが大切です。
お口の機能トレーニングで期待できる効果

正しい舌の位置を覚えられる
理想的な舌の位置は上あごです。
舌が正しい位置にあることで、
- 顎の成長を促す
- 歯列が広がりやすくなる
- 歯並びが安定する
といった効果が期待できます。
鼻呼吸が身につく
トレーニングによって口周りの筋肉が鍛えられると、自然に口を閉じやすくなります。
その結果、鼻呼吸が定着しやすくなります。
矯正治療の効果を高める
近年の小児矯正では、歯を動かすだけではなく、機能改善を重視する考え方が主流になっています。
お口の機能トレーニングを併用することで、
- 矯正治療の効率向上
- 後戻りの予防
- より安定した歯並び
が期待できます。
食べる力・話す力の向上
正しい舌や口唇の使い方を習得することで、
- しっかり噛める
- 上手に飲み込める
- 発音しやすくなる
など、お口本来の機能向上につながります。
なぜ子どものうちに始めることが大切なの?
子どもの顎や筋肉は成長途中です。
そのため、大人になってから改善するよりも、成長期にトレーニングを行う方が効果を得やすいとされています。
特に5〜12歳頃は顎の成長が活発な時期です。
この時期に正しい呼吸や舌の使い方を身につけることで、将来的な歯並びの問題を予防できる可能性があります。
また、矯正治療が必要になった場合でも、治療期間の短縮や後戻りの防止につながることがあります。
まとめ
お口の機能トレーニングは、単に歯並びを良くするためのものではありません。
- 正しい呼吸
- 正しい飲み込み
- 正しい舌の位置
- 発音機能の向上
- 健康的な顎の成長
など、お子さまの健やかな発育を支える大切な取り組みです。
「いつも口が開いている」
「歯並びが気になる」
「口呼吸をしている気がする」
そんなお悩みがありましたら、お早めに歯科医院へご相談ください。






